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【考察】「もんどうむようっ!」2部9曲目(17)を読み解く【その5】 2009.04.28[火]

動画&歌詞その1その2その3その4その5

【個人的考察】つづき
だいぶ間が空いてしまって申し訳ありません。
今回は、彼「ら」についての後日譚を読み解いていきましょう。
その4までを読んでからご覧ください。


■日常が私にとって一番の幸せだ
「きえないひとみ。」では、リンがレンに「好きだ」と伝え、
うずくまるレンに『あたしが何とかしてやるわ』と手を差し伸べました。
そして、レンはリンの手を取って…というところで物語はミクパートへ移るのですが…。
さてさて、そんな二人の関係、その後はどうなったのでしょうか?

レンパートの最後に出てくるのが、
しうかの絵を見る アレ?まだあの絵が 出てない。。 一番かわいい絵がね!
という台詞。最初はリン一人でしうかさんのイラスト鑑賞をしていたところに、レンが加わった状況でしょうか。
それを受けてのリンパート。
これでしょ?お見通しなのよ』と差し出したのは「まほうはじゃどう」のこのイラストです。

まほうはじゃどう2

物語性が強く、シリアスなタッチのイラストが多い2部作品の中で、
「まほうはじゃどう」は2部の幕開けだけあって、イラストもとっつきやすい印象ですよね。
プーチンPは曲作り・しうかさんへのオーダーも「土曜日の朝のアニメ」をイメージしたそう。
要するに、「まほうはじゃどう」の2枚の絵は、
ミクとリンの二人にとって「決めポーズ」というわけです。

この渾身の一枚、しかも『ネギも折れてるし!』と自信満々のリン様。
完勝だしぃぃ』を受けての言葉だといえます。
さあ、ここから微笑ましい日常会話が繰り広げられます。
宿題やれよ! 教えるよ?』『真面目にやればできるはず
「またあえたら☆」では『あんた 中学 サボり過ぎ!』だったことを振り返ると、
現在、レンは(成績はともかくとして)学校にちゃんと通っているらしいことがわかります。

おさらいすると「またあえたら☆」のリンパートは、追い詰められ世界を呪っていたレンと、
自分の望まない未来を予言するミク非日常世界においては唯一の"日常世界"でした。
あの作品では違和感すら覚えるリンの台詞も、『あー日常 幸せ』と歌う「もんどうむようっ!」にはしっくりとなじんでいます。
リンが『望んだ世界』に、全ては変えられたのでしょう。


■二人が語る過去と未来
そうそう、この曲は3部のヒントを提示すると同時に、2部までの物語を語ってもいます。

彼らのたどってきた軌跡は、決して平坦ではありませんでした。
けれども、リンが「こころ」を取り戻し、自分の力でつかみとった『日常』は、
赤いリンだった頃から『望んでいた世界』であり、この上ない『幸せ』だということがわかります。
そしてこの幸せは、薬物や『恋に恋する』ことで逃げ込んでいた"夢の世界"ではないのです。
リンは関係性の変化を嬉しく思っているようですね。


■二人の関係性
「もんどうむようっ!」で一番重要な台詞は、
あー日常 幸せ ゆめじゃないのね★』だと編者は考えます。
ゆめ』に溺れていた過去から脱出できた現在。リンはその日常を謳歌しているようです。
しかしレンは?
リンが夢からさめた後もガンジャや男に溺れ、
日常ひいては世界が終わってしまえばいいと願っていたレンの心境は?
二人の関係性からその変化を読み解きましょう。

せっかくリンが"渾身の一枚"を見つけたのに、まだ何やらごそごそとあたりを探しているレン。
まさか…?
ガンジャは止めろと言ったよ! 呆れた 捜してもないわよ! バカだね★
「またあえたら☆」での『最後のガンジャ』発言は、嘘ではなかったようです。
しっかり者のリンと、尻に敷かれているレン。構図としては以前の作品とさほど変化がありません。
けれども、リンとレンが同じ場所に存在し、同じテーマについて(ここでは『しうかの絵』)語らっていること。これは今までには見られない空気感を醸し出していますね。

以前の彼らは「いっしょじゃない」。たとえ同じ空間にいたとしてもあくまでひとり×2でした。
お互いを狂おしいほど求めているのに、自分の「こころ」は相手に届かない。そんなもどかしさがありました。
しかしこの作品ではどうでしょう。
わずかずつではありますが、より健全に。より明るく。
ひとりからふたりへと関係性が変化していっているのではないでしょうか。

ガンジャはもうここにはないわよ?
一番かわいい絵』だってここにあるし。
レンってば、なにやっているのかしら?
それにしても、平和だなぁ。『あー日常 幸せ ゆめじゃないのね★

かつてないすがすがしさを感じているリン。
傍らにはレンがいてくれる。なんてあたし、しあわせなんだろう…

ん?
どうしたの?『一番かわいい絵』が見つかった?
あたしはあの絵が一番だと思ったけど、まあ人それぞれ好みがあるしね。
レンお気に入りのあたしは、『どの絵よ? 早く見せなよ★★★★★


ここで解釈が分かれるのが、レンパートの不在です。
レンがどのような言葉と表情でリンにあの絵を渡したかで、かなりレンの心情が変わってきます。

↓あの絵
まほうはじゃどう1

レンパートという手がかりがないので、
リンの絵を選ぶことが照れくさかったのか、
やはりミクに未練があってのことなのか、
純粋に、お気に入りの「しうかさんの絵」がたまたまあの絵だったのかは、不明なままです。
(そのかわり、レンパートでは逆にリンのテンションの落差が滲み出ていて、心理描写が非常にわかりやすいですね)


■甘えと照れ
編者の個人的な解釈は、リンに対する甘え照れがあったのだというものです。
ミクへの気持ちは、「もんどうむようっ!」現在では『ファン』ということで間違いないでしょう。
(→参考:3部2曲目「なにもないもの。」)
また、時系列としてはリンの手を取ったあとの話ですから、
レンはリンに対しての好意を自覚しているでしょう。
しかし、彼はリンの「告白」に対して明確な答えを出していないようです。

この辺りはすべて裏付けのない推測になってしまいますが、
彼の基本的な性質は「追えば逃げるし逃げれば追う」犬のようなものだと編者は考えます。
そして、リンの母性に対する甘えも見逃せません。

リンは自分のことを好きだという確証を持っている。
しかし、リンの告白に対して自分が明確な答えを出してしまったら
リンは変容してしまうのではないか?
今の居心地の良い関係(しっかり者のリンと、尻に敷かれているレン)は、
言わば自分が『ダメ野郎』と見なされているからこそ成り立つ関係なのではないか?
意識的にせよ、そうでないにせよレンが考えていてもおかしくありません。
ダメ野郎』だから庇護したくなる。これは対等な人間関係ではなく、母子関係に近い印象です。
これが甘えの正体ではないでしょうか。

そして、純粋に照れもあります。
これはレンが14歳の中学生(という設定年齢)から来る心理。まあ、わからなくもないでしょう。

リンは自分が『ダメ野郎』だから好きだと言ってくれた。だから、『ダメ野郎』でいたい。
何も言わなくても、リンは自分を信じてくれる。
照れくさいし、自分が返事しなくてもわかってくれるはず…


ここでレンは「告白の返事をしない」という選択肢を取りました。
でも、リンの好意ははっきりと感じている。唯一自分のほうが優位だと思える部分かもしれません。
リンも自分がリンに対してどんな気持ちを持っているか、もちろん分かってくれるだろう。
だから、これくらいの冗談(ミクの絵を選ぶ)も許してくれるよね?
だってリンの絵を選んだら、しうかさんが描いたミクの絵、紹介できないし。



■リンの不安
しかし、レンの甘えは見事に粉砕してしまいます。
ミクの絵を差し出した途端に訪れる、恐怖の無音。無音はプーチンP作品で効果的に使われています。
(一番わかりやすい例が、2部「けっせんとうじつ!」でしょうか)
幸せを歌い、浮かれていたリンは一転、無言でその存在をアピールし始めます。
その様子を「レンパートで説明」しているのがにくいですね。

目が赤い』=暴走状態を暗示しています。
1部「いっしょにね!」で『こどもはきらい』と繰り返す部分で、公式絵のリンが赤目として表現されていたことに起因するでしょう。
歌詞が赤くなるのは、過去のトラウマがフラッシュバックしたときや、感情が抑えきれなくなったときだと編者は解釈しています。
他の曲では実際に目が赤くなる様子は描かれませんでしたが、
歌詞が赤くなると同時に、目も赤くなっていたのかもしれません。
(→参考:子供の歓声と、こだまする『こどもはきらい』

さてさて、なぜリンは目が赤くなるほど怒ったのでしょうか?
「もんどうむようっ!」自体がコメディタッチの曲ですので、「リンだってそりゃあ怒るわww」と
捉えても全く問題ないです。
しかし、先ほど述べた「レンの甘え」をリンがどのように受け取っているか分析することで
怒りの質というものがわかってくるのではないでしょうか。

リンの差し伸べた手を、レンは取りました。
レンが傍らにいる、幸せな日常を手に入れました。
そばにいるレンは元気に見えるし、以前のようにガンジャに溺れることもないようです。
しかし、レンはリンの告白に対して「言葉での返答」をしていません。
リンにとってはあくまで「待ち」の状態。
14歳の中学生(という設定年齢)の心理を考えると、「言葉で言ってくれなきゃ分かんない」のです。
ですから、恐らくリンは幸せの中に小さな不安を抱えていたと推測します。
レンはあたしのこと、本当に好きでいてくれているんだろうか?
(まあ、よくある甘酸っぱい悩みと言えば、そうなんでしょうけれど…)

その不安を持ったまま「あの絵」を見せられたのですから、リンも目が赤くなろうというものです。
やっぱりレンはまだあの豚に未練があるのね!!!
はい、はっきり言ってしまえばやきもちなんです。
でもリンは不器用なので本気で怒ってしまった。
そんなこと言ったって、どうせあたしのもとに帰ってくるんだから」と思えるようになるには、
まだまだ時間がかかりそうです。


■地雷
うっかり地雷を踏んでしまったレン君は、あたふたとフォローを始めます。
見ろよ このイラスト 色使いもいい!
ミクではなくて、イラストとしての完成度が高いと思っているだけなんだよ。
しかし鈍感なために、どんどん深くなる墓穴
グローブを取り出し、戦闘態勢を整えるリンに不用意な一言を言ってしまいます。
(レンはさも普通のことのように『練習に行くのか?』と言っていますが、リンは日常的になにかトレーニングでもしているのでしょうか?)

それじゃ 帰りに豆! そら豆お願い★
あちゃー。どこからつっこんでよいものやら…。
まず『練習に行く』わけではないことがまず一つ。レンのためにグローブつけたんですよね。
そして『』なら、せめてリンの大好きな「甘納豆」をチョイスするべき。
(→参考:1部「しあわせなの!」)
それが、緑色(=初音ミクのイメージカラー)の『そら豆』を頼むとは…。
この空気の読めないぶりは、狙ってやったとしたらあっぱれです。
リン様の堪忍袋の緒が切れてしまうのも、しょうがないのかもしれません。

もんどうむようっ!』の連呼とともに、リンの愛のムチが炸裂。
(ここの音ネタは、ドラゴンボールの戦闘音だと思うのですが、いまいち自信がありません…)

それでもこの曲に流れる空気は、日常の一コマです。
レンはリンをからかえるくらい元気になったし、やっぱりリンはレンが大好きなまま。
薬物の耽溺や、悲しい過去にとらわれなくてもよくなったのです。
14歳の小さな悩みや淡い恋心を、日常の中心に置けることこそが、二人の関係性の変化の証なのかもしれません。



本当に大変お待たせいたしました。いかがでしたでしょうか。
リンが望んだ世界を、ダイジェスト&3部へのヒントとからませたこの作品。
明るくてゆるくて、1部から巡回した方への「お疲れさま。見てくれてありがとう」が
詰まっている曲だと思いませんか?

3部がすでに始まっているだけに、見落としている伏線があるかもしれませんorz
ご指摘いただけると嬉しいです。

今度はやっとコラムに入れると思います。
こちらはゆるりとお待ちください。

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