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【考察】「なにもないもの。」3部2曲目(19)を読み解く【その5】 2010.10.23[土]

動画&歌詞その1その2その3その4その5その6

ミクを元気づけようと息巻くレンですが、それはとんだ空回りだったようです。
冷やかな返答から、ミクパートは再開します。
その4までをお読みになってから、ご覧ください。


■イカロスの翼
まあ、ミクさんは何でもお見通しですね。
自分の言葉に酔いしれて、世界はおろか目の前のミクすらも見えなくなっているレン君に
浴びせた冷水が、『犬 知ろうとしないの? 豚(リン) だけに背負わせて』。
見事なカウンターパンチ。レン君も絶句ですよ。
ヒーロー気取りでお姫様に手を差し伸べたら、『』と突き放されて
さらに、今は自分が守っているはずのリンに、
やっぱり守られていることを突きつけられたのですから。

人の心配なんて 強い者がする事』とは、レンパート、すなわちレンの独りよがりの行為を指しています。
ミクの心情を噛み砕くと、「私の心配をするなんて百年早い。あんたは自分の弱さを自覚していない
ということですからね。
レンはリンの手をとって、世界を呪うような底辺から這い上がることができました。
けれど、本質はなかなか変わらないものです。
ミクの言葉を理解しようともせず、リンが何を背負っているかも『知ろうとしない』レンは、
やっぱり『ナメクジ』なんです。まだまだ成長しなければならないんです。

ミクはたたみかけます。

幸せは続かない。その言葉を一番痛感しているのが、ミク自身ではないでしょうか。
ドナルドとの蜜月、そして別れ。
経験者は語る、といったところですね。
こうしてみると、2部後半のミクと今のレンの行動は重なる部分がある気がします。
「またあえたら☆」で、『歌いたい 生きるために それしか 出来ないから…』と歌っている箇所が
それに当たると考えています。
(→参考:同調


■わかるからこそ悲しいの
ミクは歌うために生まれてきたボーカロイドです。けれども恋をして、最愛の人を失うという危機に直面しました。
その際、2部のミクは『悲しい この記憶』を消すために、歌う以外の方法をとったでしょうか。否です。
ドナルドが消えると知ったとき、自分ができるはずのことを、のたうちながらでも模索したでしょうか。
今のミクにとっては、)否です。
ミクが行ったことは、『君とデート☆』。美しい思い出作りでした。
目の前からドナルドが消えていくときに、自分の無力さをどれほどかみしめたことでしょう。

あのときデートで無理にはしゃいでいた自分と、今、懸命に吠えながら道化を演じているレンが
ミクにはダブって見えたのかもしれません。

本当は、いくら模索しても、当時のミクにドナルドを救う手段などなかったと思います。
恐らく、それほどリンのこころは強かったからです。
ただここで感じてほしいのは、
ミクは「まだ私には何かできたのかもしれない」と後悔し、自分を責めていること
だからこそ、(突き放しているように見せかけて)レンに同じ轍を踏んでほしくないと思っていることです。

レンが守ろうとしているもの(現在と未来)は、とても危うく不安定なものです。
嘲笑(久しぶりのm表記ですね)し、『あんたにも分かるはずよ?』と投げかけることによって
レンを我に返らせているのだとしたら、ミクは非常な強さを持っていますね。
2部「きえないひとみ。」から現在(「なにもないもの。」)までで、一番変化したのは彼女かもしれません。
愛する人の消失によって、変化せざるを得なかったとも考えられます。

ちなみに、この曲での考察はレンに対して辛口ではないか、というご意見もあろうかと思います。
とくにレンパート<スーパーイケレンタイム>の解釈は、なかなか同意を得られないかもしれません。
ただ、レンはまだ成長の途中にあります。あのレンはまだ真に<イケレン>にはなっていないだけなのです。
今回、ミクと対峙し、彼女の言葉によって自身の驕りに気づけたのではないでしょうか。
レンがどのように成長していくのかは、この物語の見どころでもあります。


■ガラスの靴が砕け散るとき
ここでは、前項で述べた"ミクの変化"についてもう少し考察をすすめてみます。
表面的な部分で言えば、2部前半「いっしょじゃない」までのミクと2部最終曲「きえないひとみ。」のミクは
まったく異なった様相を見せていましたね。

表情すら全く違っていますよね。

では、ミクはなぜ変化したのか。
この変化の大きな要因は、ドナルドの存在にあります。
「まほうはじゃどう」でドナルドと出会い、ミクはしだいに彼へ惹かれていきます。
それに従い、ミクの他人へ対する態度が変化しているのが分かるでしょうか。
「まほうはじゃどう」の頃は、『出すもの出して ないなら消えてよ』と、人を人とも思わない態度でした。
しかし、「いっしょじゃない」でのミクを見てみると、
リンに対して『けどね 恋するあなたは 少しだけ輝いた…』とつぶやいています。
これこそ、ミクがドナルドとの恋を通じて「他人への興味、関心が高まっている」という証拠にならないでしょうか?

そんな余裕と慈愛(?)を見せたミクが、その拠りどころであるドナルドを失ったとき。
彼女は泣き、すがり、彼を追い求めて高く高く飛んで行ってしまいます。
平たく言うと「失恋」なのかもしれませんが、ミクは大きな絶望を味わったといってもよいでしょう。
自身に力があったら、『絶望の歌』を歌いたいと心から願ったかもしれません。

この世界なんて、なくなってしまえばいいのに。

けれども、ミクに『絶望の歌』は歌えない。
その手に残ったのは、彼との思い出と彼を失った空っぽの自分だけ。
2部におけるミクの変化は、(ドナルドを失い)挫折を味わったことによる変化といっていいと思います。


細切れですみません。続きます。
その6


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