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【考察】「なにもないもの。」3部2曲目(19)を読み解く【その6】 2010.10.25[月]

動画&歌詞その1その2その3その4その5その6

【個人的考察】つづき
ガラスの靴が砕け散ったお姫様は、うずくまる水辺を捨てて
裸足で歩きだします。
その5までをお読みになってからご覧ください。


■裸足で歩きだす姫様
おさらいと準備がやっと終わりました。ここからが本番です。
前置きが長くてすみません。

では、3部「なにもないもの。」のミクはどうでしょうか?
2部までのミク(「まほうはじゃどう」や「きえないひとみ。」)とどのような違いがあるのでしょうか。
nanimo2

この作品におけるミク像を、2曲と比較します。
「まほうはじゃどう」のような強気さ、天真爛漫さは見られないものの、
「きえないひとみ。」のような絶望感や、自暴自棄になったような発言も見られません。
2部「きえないひとみ。」から3部「なにもないもの。」の間に、確実にミクは変化しています。
どう変化しているか、なぜ変化しているか。これを読み解いていきます。

「なにもないもの。」は、ミクとレンの会話で成り立っている曲です。
思い出していただきたいのは、「いっしょじゃない」の中盤の歌詞、
リンがレンに振られて、暴走→燃え尽きてしまったとき。
アメフラシ並みにジメジメ メダカ! カボチャ? うー? チャーハン!』。
これも場面的には、ミクがリンと会話している曲ですよね。
けれども、ミクが会話中に脱線して、一人しりとりが始まり、終わってしまったセリフです。
(→参考:嘲笑、挑発、そして羨望
いっしょじゃない1

あの発言は、彼女なりにリンを励まそうとした結果だと編者は考えているのですが
どん底のリンにはまあ、伝わるものではなかったですよね。
当時のミクは、人の心の痛みを知らず『フラれるなんて あり得ないにゃー!』を地でいくような性格でしたから。

しかし、彼女はドナルドを失い、大きな痛みを知ることになりました。
「なにもないもの。」で見られる変化は、他者への気遣いと共感と言えるのではないでしょうか。
表向きにはリンへの気遣い、その奥にあるレンへの共感です。
あれ、あんたに向けてる バカ ここにいちゃダメよ
このセリフは、リンの心情(狂おしいほどレンを求める気持ち)をくみ取らなければ出ない言葉でしょう。
また、陶酔してミクの言葉に耳を傾けようとしないレンにも、冷たい態度をとっているようでいて
実は辛抱強く話しかけています。これも大きな変化です。
以前の彼女であれば、レンがあのような態度をとったら相手にもしないでしょう。
しかし、『あんたにも分かるはずよ?』とレン自身がその危うさに気付くよう、促してさえいます。

彼女はリンとレン、両方に過去の自分自身を重ねているのかもしれませんね。
アイドルとして一番になることで、自分自身をようやく保っているリン。
好きな相手の本当の気持ちに気づかず、空回りしているレン。
ミクの言葉の端々に感じられるのは、「自分と同じ失敗を二人にはしてほしくない」という『こころ』ではないでしょうか。
さすが年上。ミクの態度は、駄々っ子に対する母親のような辛抱強ささえ感じさせますね。
(これは、愛と読みかえてもいいのかもしれませんが、恐らくミクは否定するでしょう。彼女は意外にシャイなのです)


■あの歌を歌えたならば
さらに深読みをするのならば、こんな考え方もあります。
「みえないよるに。」では、ドナルドがミクを生かすため、この世界を終わらせないように
リンの正常化を促したのでは?という解釈をさせていただきました。
その事実を、ミクが正しく理解したとしたら。
絶望の歌』なんて、歌う資格があっても歌えないですよね。
(もちろん、ミクに『絶望の歌』を歌うことはできませんが…)

ドナルドが、その存在を賭してまで救ってくれた自分と"プーチンP世界"
守りたいと思うのは自然の流れではないでしょうか。
リンやレンを守るのも、二人が"プーチンP世界"のキーマンだから。
そんな解釈も成り立つと思います。

また、『それより酒よ! それしかないの?』と、レンの差し入れ(?)にケチを付けた後に見せる
役立たずだね☆ 早く行きなよ ね?
これです!冷たい言葉のようでいて、二人の未来を誰より案じているのが分かりますよね。

最後の『ね?』に関しては、発表当時「"レン"に聴こえる」と空耳解釈コメントが多く見られましたが、
プーチンPはインタビューにてその空耳を否定。
(→参考:プーチンPインタビュー
リスナーの自由な解釈を尊重するプーチンPには珍しいことだったと思うのですが、その際の発言が重要でした。
「…まだ、ミクに"レン"とは言わせない!と」(プーチンPインタビューより引用)
この言葉、3部すべてをお聴きになった方ならちょっと鳥肌ものかもしれませんね。

話題が散乱してしまったので、一度まとめます。
ドナルドを失い、"プーチンP世界"の秘密を知ったミク。
今の彼女には、大輪の花のような輝きはありませんが、お姫様の傲慢さも見られません。
そのかわりに生まれたのは、底知れないほどの強さと、他人に共感する力です。
(編者は、ドナルドを失うことが、直接リンレンへの共感につながるとは考えていません。
 要因は、ドナルドを失わないように、また、ドナルドを『私探す』と
 言って求めたときに知った秘密にあると考えます。)

彼女は、挫折を味わい、自ら一番の座を降りることで、他者の気持ちを理解できるようになったからです。
そして、世界を守るため、危うい綱渡りを続ける子供たちに、小さな部屋から手を差し伸べます。

時は未だ来たらず。
ミクは何を知ったのか?今後どう物語に関わっていくのか?
彼女がレンを名前で呼ぶのは、いつの日になるのか?
非常に楽しみです。


■作られた過去と作り出す未来
最後に、曲中には登場しないリンについて、イラストから解釈してみます。

早く行きなよ ね?』というミクの呼びかけと重なるように、
無機質な電話の着信音が鳴り響きます。
場面は変わり、うつむくリンの姿。手にはドラえフォンを持っています。(情報元:しゅら@in
リンは意外にキャラ好きなんでしょうか。

(→参考:ドラえフォンとは)


モチーフになったドラえもんは、あまりにも有名なキャラクターですが
彼もまた「願いや夢を叶えてくれる、未来の化身」ですよね。
"プーチンP世界"で夢を叶えたリンが手に持つものとしては、少々できすぎた感のあるアイテムかもしれません。

さて、リンの背景から察するに、「あんさつしゃ!」で喝采を浴びたステージを終え、今楽屋にから電話をかけている
のではないかと考えられます。
楽屋の壁には"…リン様"という貼り紙や、ハリウッドライトのようなもの、"TKだけはガチ!!"という落書きがあります。
電話をかけている相手は、恐らくレン。噂をすれば影が差すといったタイミングでしょう。
「あんさつしゃ!」と「なにもないもの。」は、時系列的には同じ時間で、違う場所をあらわしています。


前回の考察で、画面の中と外という観点で考えを述べたと思いますが、その対比を聴いている側が味わうという作りになっていると思います。
これらの技法は、2部「ぬすみはげどう?」「なやみむようっ!!」でも使われていましたが、
3部はさらに踏み込んだ使い方をしていますので、「どれが"対"になっているのか」を考えながら
作品を聴いていくのも面白いかもしれませんね。

戻ります。
1部5曲目「さくらのしたで☆」では、レンの着信音は『や ら な い か ?』でしたが、さすがに変えたようです。
レンは、リンからの電話をとったのでしょうか?
推測ですが、気づいていないのではないかと編者は考えます。
鳴り響く着信音と、さびしげなリンの表情がそれを物語っているのではないでしょうか。
そう、注目すべきはリンの表情。
トップアイドルになって、晴れのステージに立った後とは到底思えないほどですね。
達成感というよりは、虚しさが漂ってくるような…
ansatsusha1  nanimo2

せっかく一番になって輝いている姿をレンに見せたかったのに、肝心のレンは姿を見せませんでした。
さらに、この世界の秘密を背負っているリンは、一番の座すら素直に喜ぶこともできなかったのではないでしょうか。

リンはステージ上でレンを待ち望んでいました。
けれども、レンはリンの晴れ舞台ではなく、ミクのそばにいました。
レンはミクに諭され、リンのもとへと走り出します。
レンを探し求めるリンは、レンに電話をします。
走り出したレンは、リンの着信に気づきません。
リンは一人さびしくステージを後にします。


二人のすれ違いから始まる第3部に、やっぱり目が離せないですね。


ここからは蛇足です。次回予告の話について。
「あんさつしゃ!」では書きそびれてしまいましたが、
3部に入ってから、毎回次回予告が最後につくようになりましたね。
「またあえたね☆」は、ミクと初登場の人物がタイトルコールを行っています。
あのシステム、手法としては使いつくされたものなのですが、曲に入れてしまうところが大胆です。
曲・音楽という世界から、物語の世界へとさらにシフトしているプーチンPならではと言えましょう。
また、楽曲アップの間隔が長めになっている現状を鑑みると、
タイトルが分かることで、次回への手がかりとできるのでファンにとってもうれしいですね。

初登場の人物、神威がくぽがどんな役割を担ったものなのか、
ミクとがくぽは誰に対して「またあえたね☆」と言っているのか
再び登場した「ぬすみはげどう?」のイラストと次回作の関係は?
ぬすみはげどう?
これらを考察していきたいと思います。



あんたに私は救えない。
この世界の秘密を知りもしないで、「元気づける」?
笑っちゃう。
とんだ偽善者だわ。
あんたは自分が楽になりたいから、悪者になりたくないから
私のところに来てるだけ。
あの子と向き合うの、まだ怖いんでしょ。

ねえ、私が泣くとでも思ったの?

あんたには、あの子がいるのよ。
自分がしてしまったことわかっているの?
あの子はあんたが好きだから、何も言わないで背負ってるだけ。
あんたのすべてを許して。

あんたが本当に「いっしょ」にいなきゃいけないのは、あの子のほうなのよ。





「またあえたね☆」(歌詞・動画)
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