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【考察】「かがみのむこう>」3部6曲目(23)を読み解く【その5】 2011.02.06[日]

動画&歌詞その1その2その3その4その5その6その7

【個人的考察】つづき
ボーカロイドになった同胞・神威。
「鏡音レン」の存在を目の当たりにして、彼は過去を回想します。
むかしばなしの子供たちが望んでいた世界とは。
その4までをお読みになってからご覧ください。


今回は、妄想分高めでお送りします。
赤の時代、同胞・神威と赤いリンはどのような関係だったのでしょうか。
がくぽの回想から、二人の過去を紐解きます。

■不等号の世界
 鏡に映る自分はきっと
 ここよりも幸せなんだと
 信じていたね?
 僕は笑ってたwけけけw


自分自身を鏡に映しているのは、赤いリンであると編者は推測します。

ここで初めて、曲名の意味が明らかになります。「かがみのむこう>」の「>」の部分ですね。
「>」は数式の不等号を表します。
では、比較されている対象は何でしょうか?
それは、『ここ』=『冷たい世界』="赤の時代"の世界に生きる、現実の自分自身に他なりません。

 鏡の向こうの世界 > 現実世界

冷たい世界』で生きるしかなかった赤いリンは、空想の世界に救いを求めていたのでしょう。


■僕は夢を信じない
赤いリンの小さな空想の世界を、小馬鹿にしながら見つめていた目がありました。
その目の持ち主は、同胞・神威。
元来、「笑い」という行動には、さまざまな感情が含まれています。
しかし、『僕は笑ってたwけけけw』という表現からは、冷笑・嘲笑・冷やかしといった
蔑みの感情が多く含まれていると読むのが自然ではないでしょうか。

ちなみに、『けけけw』にはちょっとした意味が。
「おしまいだぜ!」で白文字リンが『』と歌っているのと共通なんですよね。
ここから、白文字リンと神威がくぽは「成分の近しい者同士」ではないかと推測します。

話を戻します。
たしかに、鏡は光を反射して表面に鏡像を映し出すものに過ぎません。
だから、同胞・神威が空想にふける赤いリンを蔑むのは、ある意味もっともなことかもしれません。
鏡の向こうに世界なんてあるわけないだろ。なに言ってんの?

しかし、赤いリンも、ただ空想癖のある女の子ではありませんでした。
彼女は、組織に属し、『敵を壊してた』=(戦争・抗争における)殺人行為を余儀なくされていた
孤独な「子ども兵」である、編者はそう解釈しています。
(→詳細:組織とは何か?
思春期のやわらかい『こころ』に、血にまみれた日常はあまりに過酷。
幸せな世界を「かがみのむこう」に見出すにも、無理からぬものがあるのではないでしょうか。
だからこそ、その恐ろしい日常から逃れられるように、ルカ女史はこどもたちに薬物を投与していた
と言えるからです。
(→参考:"仕事"

薬物を投与されていたのは、同胞・神威も赤いリンも同様です。
がくぽは少し前に『こころ無くす クスリに救われ』ていたと語っていますね。
恐らく、同胞・神威としては薬物で現実逃避できているのだから十分だという姿勢だったのでしょう。
でも、赤いリンは同胞・神威と異なる感情を持っていました。
薬物を投与され、依存せざるをえない状況下でも、そこから何とか抜け出そうともがいていたのではないでしょうか。
それが、鏡の向こうの世界へ思いをはせることであり、赤いレンと暮らすことだったのだ、と編者は考えます。

なやみむようっ1

このパートは、一見すると「空想を信じる赤いリン」とその「空想を信じない同胞・神威」という夢(赤いリン)/現実(同胞・神威)の対比を描写しているように思えます。
しかし、それは見せかけに過ぎません。本当は、"赤の時代"の世界で、
「薬物に頼らず、こころ』必死に守る赤いリン」と「薬物を享受し、壊れつつある『こころ』に目を向けようとしない同胞・神威」という現実(赤いリン)/夢(同胞・神威)の対比が描写されていることを把握しておきましょう。


■秘密の花園
空想の世界を他人に明かすという行為は、大変リスクを伴うものであると編者は考えます。
なぜなら、理解してもらうことが困難だから。
でも、同胞・神威は、赤いリンの空想世界を知っていた。
これが何を意味するかを考えてみましょう。

可能性は二つあります。
一つめは、たまたま知ってしまったという可能性。
例えば、赤いリンが鏡をのぞきながら会話する姿を偶然目撃してしまい、
「なにやってんだよ?」と問い詰めて秘密を知ったという経緯が考えられます。
二つめは、赤いリンに打ち明けられたという可能性です。
赤いリンが鏡と会話する姿を目撃したのは、同様の偶然だったかもしれませんが、
彼女のほうから「実はね…」と小さな秘密を告白されたという経緯。

鏡の向こうはね、幸せな世界なの。
敵を壊したりしなくていいし、大好きな歌がいつも歌えるし。
でね、
鏡の向こうにいるあたしはね、あたしじゃないの。
強くて明るくて、何があっても逃げない、まっすぐな子なのよ。


もし、赤いリンの秘密を知った理由が後者であれば、
同胞・神威と赤いリンの関係は、単なる「仕事仲間」ではなく、もう少し近しいものだったのかもしれません。
少なくとも、赤いリンは同胞・神威に自分の空想の世界を知ってもらいたい、共感してほしいと
考えていたのではないでしょうか。
そうでなければ、このような『こころ』の琴線に触れるようなことを他人には話さないと思いますから。

赤いリンのその淡い感情を、同胞・神威はどれくらい感じていたのでしょうね。
前述のとおり、彼の笑いには共感のかけらも感じられません。
薬物と血にまみれた争いの日々の中では、共感する『こころ』を育てることはできなかったのでしょう。


■「かがみのむこう」はここにある
さて、そんないきさつを経ての"プーチンP世界"
彼は、なぜ今ここでそのエピソードを回想したのでしょうか。
それは、"プーチンP世界"が赤いリンの言っていた「鏡の向こうの世界」を彷彿とさせるものだったからだと思います。
鏡音リンの存在するこの世界は、敵を壊すことを強要されず、大好きな歌を歌える世界です。
鏡音リンは、強気で明るく、自分の力で幸せをつかみとっています。

彼にもし共感する『こころ』があれば、リンの幸せを喜ぶことができたでしょう。
しかし、がくぽはそんな気持ちにはなれませんでした。

それでも 君だけが
幸せ なんてね はぁ?
許せぬ 壊したい
激しく 壊したい


ただ、赤いリンに殺されてしまったという怒りだけが彼を駆り立てているのではありません。
リンだけが幸せであるなんて、許せない。だから、リンが幸せを感じているこの世界を『壊したい』。
そう思っています。
なぜって?
それは、この世界に自分自身がいなかったからです。

え? でも、神威がくぽとして、今存在しているじゃない?
そうです。ただし、編者の言わんとしているのは「役割」。
彼はリンに望まれて今"プーチンP世界"にいるわけではないですよね。
あの人』の命を受けて、世界を壊しに来た言わば異物です。

"プーチンP世界"は、赤いリンが望み、鏡音リンが手に入れた世界です。
けれども、鏡音リンに望まれてそばにいるのは、自分自身(同胞・神威)ではなく、
かつての自分自身と同じ顔をした他人、鏡音レンでした。

なんで僕じゃないんだ?
君の隣にいるのは、僕のはずじゃなかったのか?
なんで?
なんで、僕を置いて君だけ変わってしまうんだよ。


だからこそ、彼はリンを激しく憎みこの世界を壊そうとしているのです。

蛇足ですが、マザー・テレサの言葉で『愛の反対は憎しみではない 無関心だ』というものがあります。
「愛情」、これはある人に対して正の感情をを持ったベクトルが向いています。
「憎悪」の場合は、負の感情を持ったベクトルが、その人に向かっているのです。
執着という力の正の部分が愛で、負の部分が憎悪ともいえます。
かわいさ余って憎さ百倍という言葉も生まれるくらいですから。
では「無関心」は? 感情のベクトル自体が、その人に向かっていません。

がくぽのリンに対する憎悪は、赤いリンへの執着に由来します。
無意識のうちに、「信じていたのに、裏切られた」と感じたのかもしれません。


続きます。
その6
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COMMENTS

> は右向きの矢印かなと思ってましたが、そのまま不等号と考えた方が自然ですね。
たまたま知ったのか打ち明けられたのか。それによってまた違ってきますよね。
マザーテレサの言葉面白いですね。その通りだと思いました。
2011-02-06 日 04:01:56 | URL | torment #- [ 編集 ]

>tormentさま

コメントありがとうございます。
「>」は、レンとがくぽの立ち位置からして、不等号ではないかと解釈しました。
ロシア時代の赤いリンと同胞・神威の関係は気になりますよね。
2011-02-08 火 00:35:18 | URL | 編者 #- [ 編集 ]

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