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【考察】「たびにでよう!」3部7曲目(24)を読み解く【その3】 2011.02.27[日]

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【個人的考察】つづき
海辺にたたずむルカ。
遠い目の先には、何が見えているのでしょうか。
その2までをお読みになってからご覧ください。

■ライフ・ハッカー
前回、ルカが逃亡先を海に選んだ理由について、論じさせていただきました。
ルカは「ねむりたいのに!」で行った行為によって、
罪滅ぼし(『せめてもの償い』)とともに「自己の再生」を感じたのではないでしょうか。

あたし生きてる気がするわ☆ やりたいことが出来てるから!
裏を返せば、彼女の過去は『やりたいことが出来て』おらず、『生きてる気』のしない日々だったということ。
彼女が望んだ『やりたいこと』は、「ねむりたいのに!」でも考察させていただきましたが、
まとめるとこんな感じ。

海辺でも、彼女はPCを傍らに置いています。


まさに現在も『やりたいこと』を継続しているんですね。
しかし、彼女が行っているのは非常に危険な行為です。
それは、殺し屋・テッパンノフが彼女のあとを執拗に追い続けていることからも明白でしょう。
子どもを戦闘行為に駆り出し、殺人を厭わないような「組織」を裏切ることは何を意味するでしょうか?
死、だと編者は考えます。

ですが、ルカもそれは覚悟の上。
恐怖? あるよ! けど意志がある 命燃えるまでバラまく!
組織を裏切ることは、自分の生命を投げ出したに等しい。それは自分でも理解している。
恐怖(はないの)』という(自分の内面からの)問いかけには、『あるよ!』と答えるしかない。
けれども、その行為には私の『意志がある』。
だから、私が生きている限り(殺されるまでは)『バラまく!


■限りなく小さな戦争=行為X
さて、この項ではルカが表現している限りなく小さな戦争』とは何か?について考えていきます。
戦争』というからには、戦う敵が存在しますよね。
敵=(彼女がかつて所属していた)組織である、というのは明らかです。
では、どんな「戦い」をしているのでしょうか。それが、『やりたいこと』であり『バラまく!』という行為です。

以降、ルカの「行為X」について編者の解釈を述べていきます。
ここでは、何曲かの作品を引用しながら、その内容に迫りましょう。


ロシアの 悲しい事件 伝える 為 生まれた』のが、「はじまりのリン」。
編者ははじまりのリンの以下のように定義しています。

というわけで、「はじまりのリン」はすなわち、データ化されたある意味での
"赤いリンたち(黄色いスカーフ事件の登場人物たち)の記憶(記録)の集合体"だと考えています。

ルカは、組織によって隠ぺいせざるを得なかった黄色いスカーフ事件を、
ネットを利用して告発しているのではないでしょうか。


■空を舞う紙吹雪
この行為は、組織にとって危険極まりないものですよね。
インターネットは個人の力で世界に情報を発信できる革命的なツールです。
昨今の世界情勢を見ていても分かりますが、ウィキリークスで政府の暗部があぶりだされたり、
TwitterやFacebookで発信・交流を行った市民の手で政権がひっくりかえったり。
以前ならマスコミに「タレこみ」をするくらいしか手段がなかったのですが、
(しかも、独裁者は報道機関を掌握していることが多いので、結局握りつぶされてしまうこともある)
ネットであれば力のない個人が大きな力を持つ独裁者に対抗できる、「戦える」武器となりうるのです。
ペンは剣より強し、といったところでしょうか。
この「ネットによる黄色いスカーフ事件の告発」こそが、ルカの『限りなく小さな戦争』だと考えます。

大きな組織に対して、味方は自分自身だけ。
でも、ネットを駆け巡る情報は、大きな組織にも止められない。
例えばメールを送る。Twitterでもいい、サイトでもいい。皆に見てもらえるように『バラまく!』。

ロシアでは、こんな悲しい事件があったのよ。
これをみんなに知ってほしい。
悲惨さを分かってほしい。
望まない子どもたちに、人殺しをさせている組織があるの。
しかも、薬物を与えていたために、仲間に犬を殺された女の子が暴走して同士討ち。
そのあと、彼女も自殺してしまった。
薬物投与されていなかったら、
その手に銃がなかったら、
殺人を強要されるのが当たり前の環境ではなかったら、
仲間や人を尊ぶ教育をされていたら、
子ども兵ではなかったら、
きっとこんなことは起きなかったでしょう。
しかも、その事実を彼らはなかったことにしている。
今も、子どもたちは犠牲にされ続けている。
彼らをこのまま放っていて、
いいの?


これは情報戦です。
第2次世界大戦でも、戦闘機が市街地に爆破予告や投降を呼びかけるビラをまくことで
敵対する国の市民に訴えかけたりしました。
そして21世紀。
紙はデータになり、戦闘機はインターネットになりました。
編者は、「何が正義であるか」ということを言いたいわけではありません。
ルカは、元軍人として、組織に対して「情報戦という戦争」を仕掛けたということを言いたいと思います。

ちなみに、子どもの権利条約(1989年)や子どもの権利条約に関する議定書(2000年)では、
「18歳未満の子どもの強制徴集を禁止」 しています。
2003年までに130を超える国が署名、50カ国が批准。
しかし、子ども兵はそれ以降も増え続けています。ただ、「いないもの」として扱わ れているだけなのです。
いないはずの子ども兵が、同士討ち。しかも薬物によって洗脳されていた。
それを組織はなかったものとして隠蔽した。
もし、組織が表向きはクリーンな態度をとっていたとしたら(もしそうでなくても)、
なんてセンセーショナルなできごとでしょうね。


■世論は国を動かすか
もし、ルカの味方が存在するのならばそれは世論だと編者は考えます。

組織の現状は、50カ国が批准した条約にも抵触しています。
専門家は黙っていませんよね。
そうでなくても、年端のいかない純真無垢な(と大人たちは勝手に思っている)少年少女たちが
殺し合いの犠牲になっているなんて、
下世話な言い方をすれば、「人の心を動かすいいネタ」じゃないですか。
まさに、黄色いスカーフ事件の犠牲を『無駄にはしない 人を動かすの☆』。
ルカの告発がたくさんの人の目に留まれば、世論は動くかもしれない。
世論が動けば、国際機関や条約を推進している国も動くかもしれない。
機関が動けば、組織は解体されるかもしれない。
組織が解体されれば、子どもたちが解放されるのかもしれない。

ルカが正面切って太刀打ちできないことも、こんな風にして上手くいくかもしれないんです。
もちろん、成功確率は限りなく低い。
彼女には報道機関や世界の要人とのコネもありませんから(あればとっくに亡命しているはず)、
世論を動かすほどの波及ができるのか、そもそも信じてもらえるのかもわかりません。
ただ、罪の意識を持ちながら、暗い仕事をやり続けるよりも
命の危険があったとしても『あたし生きてる気がするわ☆ やりたいことが出来てるから!』。
ルカの本当の願いは、組織の解体ではなく、二度と黄色いスカーフ事件が起こらないこと。
子どもたちが戦争の犠牲にならないようにすること。
それは、自身にできる『せめての償い』だと考えています。
(ネタばれ御免!反転します)
なぜそんなにも彼女が子供たちに肩入れするのかについては、
「こころにこえを。」で理由が語られていますね。
彼女も「犠牲になった」子どもたちの一人だったからです。


彼女は、世論=人を動かすことで『限りなく小さな戦争』を一人、戦っているのです。


続きます。
その4
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COMMENTS

情報戦のくだりは分かりやすいのですが、「赤いリンたちの集合体」とはなんでしょう? 赤いリン(=イリーナ?)は複数人いたという解釈なんでしょうか?
後子どもの権利条約の話、勉強になりましたが、プーチンP世界にも我々の現実と同じようにこの条約があると考えていいのでしょうかね?
2011-03-01 火 05:17:53 | URL | torment #- [ 編集 ]

>tormentさま

ご質問ありがとうございます。
記事も修正しましたが、「赤いリンたちの集合体」=黄色いスカーフ事件の登場人物たち です。
赤いリンや犬といった、黄色いスカーフ事件としてルカが語ることになった物語に出てくるみんなの
記録を「はじまりのリン」と定義付けました。

子どもの権利条約については、プーチンP世界にはあるかどうかわかりませんが、
少なくともルカとテッパンノフがいた「ロシア時代の世界(≠プーチンP世界)」には
あると思っています。二つの世界については、コラム「tormentさんと語る、プーチンP作品の時間軸のはなし」
一番最初の図をご参照ください。
2011-03-01 火 22:47:21 | URL | 編者 #- [ 編集 ]

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