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【考察】「こころにこえを○」3部12曲目(29)を読み解く【その3】 2012.05.09[水]

動画&歌詞その1その2その3その4

【個人的考察】つづき
彼が彼女に手を差し伸べるまで。


「こころにこえを。」「こころにこえを○」両作品を「こころにこえを」2部作と呼び、
横断的に考察していきます。
「こころにこえを」2部作をご覧になってからお読みください。

今回焦点を当てるのは、テッパンノフの行動とその裏側(前半)です。
彼は、何を思ってルカに銃を突きつけたのでしょうか。


■あなたに花を
「たびにでよう!」でルカに銃を突きつけたテッパンノフ。
しかし、銃から飛び出たのは銃弾ではなく真っ赤なバラでした。



これが何を意味するのか?
殺し屋のテッパンノフが、間違えてパーティーグッズを携行しているはずもありません。
テッパンノフは、ルカを殺す気などなかったということですよね。

前回述べたように、テッパンノフは初音ミクに歌を歌わせることによって、
自分を表現できるようになりました。
さらに、組織の子供たちが聴いている「ラジオ」に自分の曲が流れていることを知り、
純粋に喜んだと考えられます。
自らの存在は感知されずとも、作品は受け入れてもらえたという充足感で、
彼の孤独感は少し薄れていったのではないでしょうか。
機械の様』な任務の合間に、そんな小さな幸せを感じているある日、彼はある命令を受けます。
それは、ルカの暗殺命令。

彼は悩みはじめます。


■僕の世界を救う者
さて、ここで時間を巻き戻してみましょう。彼の子供時代の話です。
「こころにこえを。」で明かされたルカとテッパンノフの因縁。同じ孤児院で育った元・『子どもたち』でしたね。
ルカにとっては単なる幼馴染(もしくはそれ以下)としか認識していなかったようですが、
テッパンノフは全く違った感情を持っていたようです。

幼いテッパンノフが抱いていたのは、ルカを愛おしく思う気持ちでした。
少年テッパンノフの瞳は眼鏡の奥に隠れ、その感情を我々に表してはくれませんが
ラジオを聴くルカをずっと見つめていたのかもしれないですね。



ではなぜ、テッパンノフはルカに恋をしたのでしょうか?
それは明かされていません。
ルカは美しい女性でした。組織の支配者、プーチンに見初められるくらいの。
そして、少女ルカも愛らしく聡明な少女だったに違いありません。
でも、理由はきっとそれだけではないでしょう。
ちょっとだけ想像してみましょうか。

争いにすべてを奪われた子どもたち。
孤児院に引き取られ、すぐ目の前に迫った死からは逃れられました。
けれども、そこは決して安息の地ではありませんでした。
家族を殺した銃をなぜ、自分が持たなければならないのか。
新しく濃い死の影におびえ、絶望に沈む日々。
そんな中、恐怖と狂乱を凛とした強さに変えている少女が目に飛び込んできたとしたら。
生き抜いて、いつか明るい世界で幸せに暮らしてやるんだ。
音楽を聴きながらうれしそうに目を細め、遠くを見つめる少女は
彼の目にまぶしく映ったに違いありません。

ルカは『ラジオ』を聴くために集まった仲間たちに、こっそり
「いつかの未来」を語っていたのかもしれません。
(→参考:あの子と私と氷の世界
その未来と音楽にすがりついて、必死に今を生き抜こうとした子どもたち。
一緒に輪の中にいたテッパンノフ。
ロシア語はわからなくても、彼女がいきいきと語る姿だけで十分に雄弁だったはずです。

そのときから、少女ルカはテッパンノフの「光」となったのではないでしょうか。


■光消えようとも
しかし、ルカ自身はずっと「光」ではいられませんでした。
いつかいつかと歳を重ね』、少女だった頃の『こころ』を殺して生きるようになっていったのです。
けれども、テッパンノフの気持ちは年月を経ても変わることはありませんでした。
彼女とラジオ聴いてた あの頃が一番キレイな時間だった
彼にとっての頂点が、『あの頃』だったから。

初恋ははかないものです。
相手にふられたり、他に好きな人が現れたり、自分が相手に幻滅したりして
気持ちがしぼんでしまうことも少なくはありません。
テッパンノフの気持ちが、大人になるまで消えてしまわなかったのは


そう、テッパンノフがルカに対して抱いていた『こころ』は
恋と呼ぶにはあまりにもひたむきすぎました。
彼がルカに抱いていたのは、偶像崇拝に近い気持ちだったと編者は考えます。

平和な時代であれば、彼も成長するにつれて
言葉を学び、仲間も増え、視野も広がっていったでしょう。
女はルカだけではないし、そもそもルカは「光」であり続けるには不完全な人間でした。
欠点のない人間はいません。また、相手の不完全さを認めるには自分の成熟が必要です。
残念ながら、テッパンノフが過ごしていたのは、争いと闇の中でした。
他人と関わり成熟していく環境はありません。未熟なままで殺しの知識だけ叩き込まれていきます。
でも、大人になるにつれ、ルカが「光」ではなくなってしまったことを、
テッパンノフはどこかで気づいていたのだと思います。
けれども、彼はルカの不完全さを認めようとしなかった。
自分自身の過去を否定したくなかったから


■こころにうたを
過去とは、人とつながる(ロシア語を学ぶ)ことをあきらめてまで
音楽を作ってきた日々のことです。

テッパンノフは知っています。ルカがラジオから流れていた音楽を愛していたことを。
ルカに喜んでもらえるかもしれない。そんな小さな希望のために
彼は『ロシア語よりもギター 練習して孤独に』なりました。
でも、彼はそれでよかった。
過酷な子供時代を生き抜けたのは、彼女を「光」として自分を奮い立たせてきたから。

彼女と共有した音楽を、自分の手で作ることは
天使の姿を木から彫りだすような、彫刻家に近い行為だったのだと思います。
天使に捧げる「音楽」を生み出すためには、どんな犠牲を払っても構いませんでした。
大人になってからは 離ればなれになった』ルカは、彼にとってそれほど遠い存在でしたから。
でも、彼はそれでもよかった。
少女のルカは、手を血で染める前の無垢な自分自身、あったかもしれない明るい未来の象徴です。

テッパンノフは、天使のように作り上げた「光」のルカを生きる寄る辺としていたのです。


■「たった一人の本当の神様について」
となると、彼にとってルカの暗殺命令は「神殺し」と同義になります。
命令は絶対、と機械のように生きてきたテッパンノフは、だから『はじめて彼を疑った』のです。
盲目的に信じてきたプーチンは、テッパンノフの絶対的支配者です。
でも、ルカは天使です。
彼は「天使」と「絶対的支配者」を秤にかけなければいけなくなったのです。

少し時間をさかのぼりましょう。
プーチンとルカが愛人関係にあったことも、テッパンノフはこう捉えていたのだとしたら?
支配者たるプーチンだからこそ、ルカを選んだのだ。
天使たるルカが祝福するプーチンは、選ばれた存在なのだ。

二人を天上人のように思っていたから、テッパンノフは「失恋」しなかったのでしょう。
でも、ルカはプーチンを裏切り、プーチンはルカの暗殺を命じます。

テッパンノフは混乱します。
なぜ?

はじめて彼を疑った』には、いくつかの意味が込められていると編者は考えます。
』=もちろんプーチンです。
プーチンは、天使に祝福される存在ではなかったのか?
ルカは、支配者に愛される存在ではなかったのか?
プーチンは完璧な存在ではなかったのか?
プーチンはルカを愛していなかったのか?
ルカはプーチンを愛していなかったのか?


子供時代からの洗脳によって、絶対的支配者だったプーチン像にひびが入ります。
彼の命令は、間違っているのかもしれない。
ミクを歌わせることによって自分の浄化が始まっていたテッパンノフは、
疑う感情を持つことができるようになっていました。

なんて残酷なんだろうね』にも、同様に複数の解釈が成り立ちます。
自分の命を握っている支配者に、自分の生きる意味を無くせと言われること。
また、ルカの境遇に言及しているとも取れますよね。
愛した男に、いとも簡単に捨てられる悲しみ。しかも、自ら手を汚すことすらしてくれないとは。
ルカの感情を慮ること自体が、テッパンノフの洗脳からの脱出、感情の雪解けは進んでいるとも言えます。

そう、「こころにこえを○」はテッパンノフの浄化(と絶望)の物語なんですよね。
精神的な成長とも、感情の発露とも言えるかと思います。
テッパンノフは、プーチンの命令を実行するか『初めて』迷いながら、ルカの元へ赴きます。


細切れですが、続きます。
その4
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