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【考察】「なやみむようっ!!」2部6曲目(14)を読み解く【その4】 2009.01.12[月]

動画&歌詞その1その2その3その4その5

【個人的考察つづき
否定していたはずの「現実」こそが『望んでいた世界』だった。

「こころ」を取り戻したリンには、世界がどのように見えるのでしょう。
その3までを読んでからご覧ください。


■赤いリンと"赤の時代"
さて、赤いリンにとって、"赤の時代"はどのようなものだったのでしょうか。

まず挙げられるのが、圧倒的な孤独感です。
ヒトだった』けれど、家族についての描写は一切ありません。
また、『ロシアを去る前に 君を他人に預けたにゃ』と言っていることからも
家族がもし存在するならば、家族のもとに赤いレンを残すのが自然ですが、
歌詞ではわざわざ『他人(ひと)』と表記しています。
ここから、赤いリンは身寄りのない天涯孤独の身であったことがわかります。

また、『一人で戦ったの』という表現、
(恐らく同年代の)『同胞』の子供たちが、赤いリンの大切にしている赤いレンを撃つこと、
そして赤いレンが殺されたとはいえ同胞』を撃つという行為から、
赤いリンが属していた組織内でも、赤いリンは孤独を感じていたとのではないでしょうか。
家族がいなくても、大切な友達さえいれば孤独を感じない人もいるのかもしれません。
赤いリンは、両方の意味で「ひとりぼっち」だったと言えます。

唯一の友達が、犬である赤いレン。
心を寄せる相手が、言葉の通じない犬しかいない。
抱き合うことや、手をつなぐことすらできない。
その対象を他に求めずに『せめて君がヒトなら』と、
「叶わない望みを抱く」ことこそが深い孤独を象徴していると編者は考えます。

赤いリンにとって、"赤の時代"は『冷たい世界』でした。
寒いロシアで、神経をとがらせながら孤独に敵と戦い、
家族もおらず、安らげるのが赤いレンと一緒にいるときだけ。
プーチンの為に戦っていたのに 君に支えられてたorz』という言葉は、
レンに対する肯定(慰め?気配り?)の気持ちもあったけれど、ほぼ本音に近いのではないでしょうか。
プーチンの命令は絶対で、だからこそ迷いも持たずに戦ってこられた。
そう思っていたけれど、
本当は、戦ってこられたのは君がいてくれたからなんだね。


けれど、ロシアを離れる頃には
赤いレンだけでは埋められない孤独感を感じていたようです。
そして、赤いリンの精神的な限界が来ていたとも言えます。
敵の姿も、どのように倒していたのかも具体的な描写はありませんが、
散弾銃(「いっしょにね!」)、サブマシンガン(「けっせんとうじつ!」)などが身近にあるので、
いっしょじゃない1 いっしょじゃない3
赤いリンはだいぶ血なまぐさい『仕事』に就いていたことが推測できます。
(また、その精神的ストレスを緩和するため、自ら薬物に手を染めていた頃かもしれません)
また、唯一の支えである赤いレンを置いていくこと、
(『支えられていた』と自覚したのが、ボカロリンになってからという考え方もあります)
ロシアを去る』ことを『逃げる』と表現していたことからも、
「今自分が置かれている冷たい世界』に居続けるのはとても辛い」と考えていたことが分かります。

赤いレンと離れるのは、断腸の思いだったでしょう。
でも仕事』だから。『仕事』する以外に自分の存在を認めてくれることはないから。
人間は誰しも自分の居場所を探し続けます。
自分がいてもいいんだよ、と存在を認めてくれる場所。
赤いリンにとってその場所が、プーチンを頂点とする組織の下だったのです。
血みどろになり、薬物を打たれても、それでも「ここにいていいんだよ」と言ってくれる場所に帰ってきてしまう赤いリン。
ですが、ロシアを離れる直前には、自分の属している組織が何かおかしいことに気づいてしまった。
「ここにいていいんだよ」の裏に隠れた「我々の思い通りに働いている間はね」という本音に気づいてしまった。
ロシアを去る』行為は、赤いリンにとって溺れているときの藁のようなものだったのかもしれません。
八方ふさがりのロシアにいるより、新天地に行けば何かが変わるかもしれない
何が変わるのか、何をどう変えたいのか分からないけれど…。
「命令は絶対」という刷り込みとは別に、
赤いレンと離れる辛さと、新天地への期待を秤にかけて、赤いリンは新天地を選択しました。
言わば、「ロシアから『逃げる」ことで「赤いレンを切り捨てた」のです。
それほど、"赤の時代"は赤いリンにとって辛い時代だったとも言えます。


■「いっしょじゃない」との符合
いっしょじゃない」は、とても示唆に富んだ曲です。
赤いリンの気持ち、そしてロシアを離れる経緯すらも暗に示しています。

人間でありながら、ロボットのように生きざるを得なかった赤いリンの様子が描写されています。
そして、そんな辛い『過去は消えずに』自分の内にある。暴走を経て、リンはそれに気づいた。
冷たい世界』でもがく赤いリンが目に浮かぶようです。
悲しいです。感情をそぎ落とし、自分の内なる声に耳をふさがないと生きられないなんて。

ロボットのように。『仕事』だけを生きる目的にしていた赤いリンは、やがてプーチンの目にとまります。
(繰り返しになりますが、プーチンが何者なのかはいまだ謎です)
プーチンは、赤いリンへ一つの命令をします。
それが、『プーチン ハラショーでヤキトリ テンプラにゃー!
詳しくは以前述べたとおりですが、(→参考:おいしくいただきました
この部分こそが、『ロシアを去る』ところにつながっているのではないかと編者は考えます。

プーチンは言ったのでしょう。「日本へ行け」と。
赤いリンが赤いレンを捨ててまで選んだ新天地は、日本だったのです。

プーチンが赤いリンに何をさせたかったのかは、ここでは語られません。
ただ、「リン」ではなければできない『仕事だったようです。
仕事』に行く前に死んでしまった赤いリンを、ボーカロイドとしてよみがえらせてまで
日本に送り込んだのですから。
しかも、制御(または"引き金")としてのレンまでボーカロイドにしている。
赤いリン、鏡音リン、「リン」がいかに重要な役割を期待されて、
ここ日本に存在しているのかお分かりいただけたでしょうか。

いっしょじゃない」でおぼろげに思いだしたその役割も、
なやみむようっ!!」で明確になったはずです。
彼女が口を開くまで、これからの作品に期待することにしましょう。


■揺れる思い
ぬすみはげどう?」がレンの懺悔の曲だとしたら、
なやみむようっ!!」はリンの赦しの曲だと言えましょう。
先述したとおり、リンはほかの誰でもなく現在のレンに語りかけています。
レンが、悔やんでも悔やみきれないほどあの悲劇にこだわっていることは、
赤の時代の記憶を取り戻したリンであれば、すぐにわかるはずです。
俺が利口にしてたなら 君も死なずに済んでたなorz』は、ある側面からすれば、
非常にもっともなことだからです。

けれど、リンは一言もレンを責める言葉など口にはしていません。
あるのは肯定的な言葉だけです。
あまつさえ、『冷たい世界』(ロシア)から『逃げた』と告白しています。
いつも支えてくれていたレンさえも置いて、ロシアから去る。

ごめんね。君からも逃げてごめんね。

離れる辛さより、赤いレンを「捨てる」罪悪感で、赤いリンは胸がしめつけられていたことでしょう。
天秤は揺れに揺れていたはずです。
レンと一緒にいたい、でも『冷たい世界』から逃げたい。
家を出発する直前まで、いや、サザエさん一家に赤いレンを預けて、最後のお別れをした後でさえも迷っていたのではないでしょうか。
だからこそ、赤いリンの迷いを"動物的な勘"で察知して赤いレンは追いかけたのです。
鎖を噛みちぎるのは相当な力が必要なはず。
火事場のばか力が出るほどの「何か」(引きとめたら赤いリンは帰ってくるかもしれない)を感じたとも言えます。
逆に赤いリンのほうも、"賭け"に出ていたとしたらどうでしょう。
自分で決められないほどの迷いを、赤いリンは持っている。
仕事』だからと、出発することにきめてしまったけれど、本当に自分が望んでいることなのだろうか。
赤いリンは、その想いを赤いレンに託したとしたら…?



赤いリンの"賭け"とは何か。
続きます≫その5

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